#5 焼酎ペアリング
私たちの夢酒みずきでは、お料理のコースを頼まれた方には一品一品にぴったりのお酒をペアリングしてお出しして、おかげさまでお客様からご好評いただいております。
今でこそ、ペアリングという言葉が認知されてきましたが、私たちのお店でペアリングコースを立ち上げたときは、まだまだ認知度も低く、わかりづらくて定着するのに2年以上かかりました。
始めた当時、ネットで「ペアリング」を調べるとペアのリング(指輪)しか出てこなかったのは今では笑い話です。
その時は、誰もやっていないことだからやる価値があると信じ、今があると思っています。
最近では日本酒のペアリングはよく見かけるようになりました。飲食業の提案力のレベルが上がっている証拠だと私も嬉しく思っています。
ですが、まだまだ焼酎でのペアリングを提案しているお店は少ないのではないでしょうか?
夢酒みずきでは、ご要望に応じて日本酒と焼酎のミックス、なるべく焼酎でまとめてほしいというお客様のお声にもお応えしています。
常に新たなニーズにお応えできるお店でありたい私たちは、まだ未開発な焼酎ペアリングコースに力を入れていこうとあらゆることを試しています。
時間はまたかかるかもしれませんが、お客様がみずきの焼酎ペアリングコースで焼酎が好きになったと言ってもらえるようなそんな素敵な時間を提供できればと思っています。
これまで焼酎の勉強会や酒の会を開催する中でたくさんの食と焼酎のペアリングセオリーを見つけることができています。
では、ある日の焼酎ペアリングディナーをご紹介します。
この日の前菜は小肌の酢〆の握り。
シャリにガリの細かく切ったものと胡麻と紫蘇が。
用意したお酒は減圧蒸留のライトな麦焼酎、例えば、八丈島の八丈興発の情け嶋を使ってへべすサワーでスタート。
へべすは宮崎の今が旬の柑橘。
スダチより一回り大きく、皮は薄くて果実感がたっぷり
搾ると皮の苦みも出てきてしまうので、あくまで薄くスライスしたへべすをソーダ割りにしたものにそーっと入れるくらいがちょうどいい塩梅です。
酢締めにした小肌にスダチを搾る代わりに、へべすのきいた辛口のサワーを流し込む、炭酸の酸味も相まって、相性は抜群です。食事を楽しむ準備ができたところで次の料理です。
次は、お造りです。
脂ののった本マグロ。ネギトロをシンプルに塩だけで楽しみます。
そして、食感を楽しめるマコガレイはポン酢あんで。
この2つで、ピーンときた人は少ないと思いますが。実はマグロのトロ、そしてポン酢とは、黒糖焼酎が抜群の相性をみせます。黒糖焼酎を右手に、ポン酢を左手に。ただ右左を交互に飲むだけでいいつまみになるんです。
料理屋さんなのでそういうわけにはいきませんが究極そういうことです。
3品目は鹿児島の黒酢を使った酢豚。
蒸留したての香ばしさとガス感が特徴の芋を原料とした新焼酎。
例えば、天狗桜の新焼酎は、もろみ温度の高さからくる酸味(酢酸)を感じる味わいで骨太な印象に香ばしさが加わる。
蔵の師魂の新焼酎などでもいい。このままでも美味しいのですが、更にペアリングを追求するなら香ばしさ、ガス感と合わせて、料理の仕上げにローストしたアーモンドをふりかける、これだけで更に相性が良くなる。
4品目は車エビのメンチカツをチリソースで。
こちらには紅芋を使った熟成焼酎を合わせてみる。
熟成焼酎には、時間をかけてじっくり煮詰めソースを使った料理と相性がいい。和風のウスターソースや自家製のケチャップなど。
合わせるお酒は、知覧醸造の紅芋で醸した武家屋敷の長期貯蔵などもいいでしょう。
メインのお料理は、ポークシチュー。
和牛でも良いのですが、意外とやってるところないから、豚肉を使います。
合わせるのは、香ばしさと厚みのある麦焼酎。麦冠などがよいでしょう。
麦冠により合わせるなら、上質な黒糖を砕いたものを後乗せサクサクっとのせて食べれば至福の組み合わせに。一緒に黒糖で煮込むのではなく、後乗せがポイントだったりします。
食事は夏なら冷やし中華。
今なら梅村料理長こだわりの牛コツスープのラーメンなど。
冷やし中華なら芥子に合う芋焼酎もたくさんあります。
牛コツスープに合わせた焼酎もそんなに苦労することなく見つけられます。
たくさんのレパートリーの中の1つをご紹介しました。
どうですか?楽しそうでしょ?